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タイマーIC 555のタイマー時間を計算する java script を書いてみました。
Windows用プログラムもダウンロードできます。
オリジナルは1971年アメリカSignetics社のNE555。
Signetics社はその後フィリップスに買収(現 NXP Semiconductor)。
各社からほぼ同じ動作の製品、派生品が出ています。
メーカー | 製品 | 動作電圧など |
---|---|---|
NXP Semiconductor | ICM7555 | 3-16V 500KHz |
Texas Instruments | NE555/NA555/SA555/SE555 | 4.5-16V (SE555 4.5-18V) |
STMicroelectronics | NE555/NA555/SA555/SE555 | 4.5-16V (SE555 4.5-18V) |
新日本無線 | NJM555 | 4.5-16V |
Texas Instruments | LMC555 | 1.5-12V 3MHz |
Texas Instruments | LM555 | 4.5-16V |
各社データシートに載っている回路とその計算式。
Cの充電時間 tH = loge2・(Ra+Rb)・C
Cの放電時間 tL = loge2・Rb・C
1周期の時間 T = loge2・(Ra+2Rb)・C
デューティー比 D = (Ra+Rb)/(Ra+2Rb)
周波数 f = 1/T = 1/[loge2・(Ra+2Rb)・C]
この回路ではデューティー比が50%以下にはなりません。
ダイオードを追加すると50%以下のデューティー比も実現できます。
Cの充電時間 tH = loge2・Ra・C
Cの放電時間 tL = loge2・Rb・C
1周期の時間 T = loge2・(Ra+Rb)・C
デューティー比 D = Ra/(Ra+Rb)
周波数 f = 1/T = 1/[loge2・(Ra+Rb)・C]
ダイオード D1 によって充電時に Rb をバイパスします。
D2 はなくても動作します。
LM555・LED点滅回路の実験(bbradioさん「ブレッドボードラジオ」)によると、この回路は 10% ほど計算値からずれるという報告があります。
ダイオードを追加せずに50%以下のデューティー比にする場合。
ただしあまり低い値にはできません。
Cの充電時間 tH = loge2・Ra・C
Cの放電時間 tL = [(Ra・Rb)/(Ra+Rb)]・C・loge[(Rb-2Ra)/(2Rb-Ra)]
1周期の時間 T = tH + tL
デューティー比 D = tH/T
周波数 f = 1/T
ここで Rb は Ra の半分以下の抵抗値にしないと発振しないとのこと。
Cの充電時間 tH = loge3・R・C
各データシートに出てくる係数 0.693、1.44、1.1 はそれぞれ
loge2 = 0.69314…
1/loge2 = 1.4426…
loge3 = 1.0986…
を置き換えたものです。 詳しくはパルスとスイッチの電子回路の第三節 タイマIC 555(うんざりはちべえさん?「電子回路のお遊びの部屋」)、555 RC time constant formula question. などの外部サイトを参照してください。
ICM7555のデータシートでは 1.38、1.05 が使われていますが由来はわかりません。 実験的に得られた経験値なのかも。
ここでは無安定動作1を対象にした時間計算ができます。
計算式のところにも書きましたが、この回路ではデューティー比は50%以下にはなりません。
デューティー比(DC%)以外の四項目のうち三項目を埋めれば残りひとつが計算できます。
デューティー比を固定する場合は抵抗値以外をすべて埋めてください。
計算結果は上書きするので計算する項目を空欄にする必要はありません。
抵抗比ボタンを押すと、入力したデューティー比になる抵抗Ra:Rb比を表示します。
Windows用の計算プログラムです。
上にある無安定動作1の計算に加え、無安定動作2、3と単安定動作に対応しています。
(無安定動作3 は抵抗比の計算に対応していません)
ダウンロードはこちら download (236KB)
Last Modified: 4 July 2016