色素を作る遺伝情報に変異があって色素を作れない個体、それがアルビノです。色素がないため白い色をしています。
アントルームさんのブログありんこ日記にアルビノのダンゴムシを紹介した記事があります。色素がないため体は白、目は赤い色をしていてとてもきれいです。
この記事によると、育てたアルビノのダンゴムシはオスばかりでメスがいなかったとのこと。色素を作る遺伝情報が性染色体にのっているのかな?と思いました。
そこで、ダンゴムシの性決定はどうなっているのか調べてみました。するとダンゴムシはZW型と呼ばれる性染色体を持っていて、メスはヘテロのZW、オスはホモのZZであることがわかりました。これではアントルームさんのところのアルビノのダンゴムシがオスばかりであることを説明できません。性染色体で説明しようとすると、オスだけにアルビノが現れるということは性染色体Z上に色素に関する遺伝子があることになって、そうするとアルビノの出現頻度はメスがオスの2倍出現しやすいことになってしまうからです。
そもそも色素に関係する遺伝子は一つではないはずですから、アントルームさんのところのアルビノのダンゴムシがオスばかりだった理由は性染色体とは無関係ということなのでしょう。
きょうやんさんのブログきょうやえびにアルビノのダンゴムシを繁殖させたという記事があります。この記事ではアルビノのダンゴムシの雌雄の別についての記述はありませんが、繁殖の元になった最初の一匹はオスであると書かれています。やはりアルビノのダンゴムシはオスしかいないのでしょうか。詳しく知りたいところです。
ダンゴムシの性決定について調べていた時、ダンゴムシがボルバキア(Wolbachia pipientis)というバクテリアに感染すると、性染色体の組み合わせにかかわらず生まれてくる子供はすべてメスになるという話を見つけました(昆虫のさまざまな寄生・共生関係 5. 昆虫に寄生するボルバキア(Wolbachia))。ボルバキアは抗生物質(テトラサイクリンが効くそうです)によって排除することができるようなので、これを利用すれば仮にアルビノのダンゴムシはオスしか存在しない場合でも、アルビノのダンゴムシだけを繁殖させることができるかもしれません。もっともこんな手間をかけなくても「アルビノダンゴムシの繁殖」に書いたきょうやんさんの方法で繁殖させられるのですから、生物学上の興味以上の意味はないように思えます。
きょうやんさんのブログきょうやえびにはアルビノのワラジムシも紹介されています。ダンゴムシとワラジムシは形が似ていますが、アルビノの体色はずいぶんと違うようです。
ブログ土と生き物 青色ダンゴムシ・ワラジムシ(右)の情報を集めています。 にはアルビノのワラジムシも紹介されています。ダンゴムシとワラジムシは形が似ていますが、アルビノの体色はずいぶんと違うようです。
Last Modified: 3 February 2012